相続は、遺産分割や遺言に関連する問題から、親族間の対立やトラブルが起こりやすいものです。
今回は、相続トラブルの事例とそれを防ぐための手段についてお話します。
事例1: 遺言書の不明瞭さ
遺言書の内容が不明瞭であることから、遺言者がどのような意思を持って遺産を分割したのかが家族間で解釈が分かれ、争いが起こることがあります。
例えば、遺言書に「全財産を長男に譲る」と記載されている場合、他の相続人はその理由が不明で納得できず、トラブルに発展する可能性があります。
また、「譲る」という表現も「遺贈なのか」「相続なのか」という問題が発生する場合があり、相続人などが困惑することになります。
▼対策:遺言書の作成は専門家に相談する
遺言書は、遺言者の意思が明確に記載されるように書かれるべきです。
また、遺言書の作成に専門家を頼ることで、曖昧な表現を避けることができます。
事例2: 認知症の疑い
遺言者が認知症の疑いがある状態で遺言書を作成した場合、家族間で「遺言者の意思が反映されていない」という主張が生じることがあります。
遺言書に不利益な内容が記載されている相続人は、遺言の無効を主張する可能性が高くなります。
▼対策: 遺言公正証書を作る
遺言公正証書は、公証人が遺言者の意思能力を判断したうえで作成されます。ですので、後々のトラブルを避けることができる可能性が高いです。
自筆証書遺言として残す場合には、認知症が進行する前に遺言書を作成し、遺言者の意思が明確であることを示すために、医師からの診断書を貰っておくことが望ましいです。
事例3: 遺産分割の不公平感
遺言による遺産分割において、一部の相続人が他の相続人より遺産を多く受け取る場合、他の相続人は不当に多くの遺産を受け取ると感じ、不公平感が生じ、争いが起こることがあります。
例えば、遺言者が長男に遺産の大部分を譲り、他の子供にはわずかな遺産しか遺さない場合、遺産分割が公平でないと感じる相続人が現れることは十分考えられます。
▼対策: 事前に家族会議をする/遺言の付言事項に想いを書く
遺言者は、遺産分割について家族と事前に話し合い、公平な分割ができるように計画を立てることが重要です。
また、遺言書の付言事項において、なぜこのような遺産分割にしたのかという想いを表すことで、遺された相続人のトラブルを避けることができるかもしれません。
事例4: 相続放棄の影響
相続人が相続放棄を行うことで、他の相続人に負担がかかる場合があります。
例えば、相続放棄を行った相続人が遺産の一部を管理していた場合、その財産の管理が他の相続人に負担となることがあります。
また、他の相続人に事前に連絡をせず相続放棄を行った結果、債権者が他の相続人の家にいきなり押し掛けるなどの迷惑をかける場合もあります。
▼対策:相続人間、親族間で連絡を取り合う
相続放棄を行う際は、他の相続人に事前に相談し、影響を最小限に抑えることが重要です。
そのためには、相続人間だけでなく、自分たちが相続放棄した場合に相続人となる可能性がある親族にも連絡を取り合って手続きを進めましょう。
事例5: 複雑な家族構成
離婚や再婚による複雑な家族構成がある場合、特定の家族を優遇する遺産分割が他の家族に不満をもたらすことがあります。
例えば、再婚相手の子供に遺産を譲ることが、前妻の子供に不公平感を与えることがあります。また、相続人が前妻に子がいたことを知らないという状況が発生することがあります。
▼対策:遺言の付言事項に想いを書く、推定相続人の特定
遺言者は、家族構成を考慮した遺産分割を行うことが重要です。遺言書を作成し、付言事項になぜこのような分割にするのかという想いを表すようにしましょう。
また、遺言書を書く前に自分の相続人が誰になるのかを把握しておき、それを、その相続人となる可能性がる方に説明しておきましょう。
これにより相続発生後のトラブルを避けることができるようになります。
まとめ
相続トラブルは、「遺言者がしっかりと考えて対策をしていれば避けることができた」ということが多々あります。
相続対策と聞けば、相続税対策と考える方が多いです。
しかし、真の相続対策とは「遺された家族たちが円満に幸せに暮らすためにはどうすればよいか」ということを考えて対策するということです。
当事務所では、様々な専門家と提携し、遺言、相続手続きや相続不動産の売却など、相続に関わる問題をワンストップで対応しております。遺言や相続でお悩みの方はお気軽にご相談くださいませ。