コラム

認知症と相続トラブル

現在日本では認知症及びその予備軍が800万人以上いると言われています。

これは65歳以上の4人に1人が当てはまるということです。

認知症になると、法律上、判断能力がない者として扱われてしまう可能性があります。

判断能力がない人の法律行為は無効になってしまうため、相続対策をすることもできません。

ですので、元気なうちにしっかりと考えて対策をする必要があります。

遺言による対策

遺言書を書いておくことで将来のトラブルを防ぐことができます。

しかし、遺言書を書いていたとしても、遺言の内容に不満がある相続人が

「判断能力がない時期の遺言書だ」

「この時には既に認知症になっていた」

と主張して裁判になることがあります。

ですので、公正証書で遺言することが一つの対策となります。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人が本人の意向を確認し遺言を公正証書として書きます。

その際に、公証人は遺言者が認知症でないかを確認して作成するため、遺言作成時に判断能力があったことの証明につながり、将来のトラブルを防ぐことが可能になります。

相続人が認知症の場合

相続人が認知症だった場合は、遺産分割協議が進められなくなる可能性があります。

例えば、夫が認知症になり妻が介護していたが、その妻が事故などで亡くなった場合は、夫と子が遺産分割協議をしなければなりません。

しかし、夫は認知症で判断能力がないため、遺産分割協議を進めることができないということがあります。

このような場合に、遺産分割協議を進めるためには、成年後見制度を活用することになります。

そうすれば、後見人が認知症の方に代わって協議に参加することになります。

しかし、一番良い対策は、遺言書を作成しておくことです。

遺言のとおりに財産を分けることになるため協議が不要となります。

まとめ

認知症になると生前に対策することが非常に難しくなります。

後々のトラブルを避けるために、元気なうちに考えておくことが重要です。

遺される家族が争わないためにも公正証書による遺言書を検討してみてはいかがでしょうか。

当事務所では、複数の専門家と協力し、どのような対策が依頼者の意思を実行できる手段になるのかを考えてご提案させていただいております。 お困りの際はお気軽にご相談くださいませ。