コラム

遺言書と登記の関係:トラブルを回避する方法

遺言書にもいくつか種類があり、自筆証書遺言、遺言公正証書、秘密証書遺言などがあります。

この中では、遺言公正証書が一番トラブルが少ないと言われています。

ところが最近はこの遺言公正証書でちょっとした問題が発生しているようです。

遺言公正証書とは

遺言者が自分の死後に遺したい財産や遺言内容を、証人2名が立会いのもと公証人が内容を確認した上で文書にまとめたものです。

遺言者本人が生前に公証人のもと(公証役場)を訪れ、または、公証人に出張してもらうことで作成することができます。

遺言公正証書を作成することで、遺言者が自分の意志を明確に表明できるだけでなく、後日、遺言の有効性や解釈について争いが起きにくいため、訴訟や紛争のリスクを軽減することができます。

公正証書が作れない?

全国の公証役場で同一の取り扱いとなっているかは不明ですが、一部の公証役場では未登記の不動産を公正証書に記載することができなくなりました。

今までは未登記の建物であっても「令和●年の固定資産課税台帳の記載に基づき表示した」と追記することで対応していましたが、これができなくなってしまったのです。

なぜこのような対応になったのか

これは私の推測ですが、おそらく相続登記の義務化の影響であると考えます。

公証人の言い分としては、「相続登記が義務化になるんだから早いこと登記してください。遅かれ早かれ登記するんだから、忘れないように今のうちにやってください。」ってことだと思います。

遺言公正証書があったとしても、相続人が相続登記をしなかったら、所有者不明の不動産がどんどん増えるわけで、公証人としてはそのようなトラブルを防ぐために先手を打った感じではないでしょうか。

未登記不動産の登記とは?

土地の場合は、払い下げなどによる土地表題登記が漏れているということは中々ないため、現実的には主に建物が未登記であることが多いと思います。

未登記建物を登記するためには、登記申請書に、図面と建物の所有権を証明する書類等を付けて管轄法務局に申請することで対応できます。

ご自身での申請が難しい場合には、最寄りの土地家屋調査士に相談するようにしましょう。

まとめ

相続登記義務化が遺言公正証書に影響があるとは考えていませんでした。

しかし、現実的には登記の回数が増えるわけではありませんので、かかる費用としては変わりありません。むしろ、将来のトラブルを防ぐためと考えれば、早めに登記するに越したことはありません。

当事務所では、月に何件も未登記建物の登記相談があります。
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