相続した不動産を売却しようと登記簿を調べたら、10年前に取り壊した建物が登記されたままになっていた。
さらに調べると、見たこともない何十年も前の建物の登記も残っていた。
このような場合に、どう対応すればよいのかをまとめました。
取り壊した建物の登記が残っているデメリット
現地に存在しない建物が残っていると売買がスムーズに進まない可能性があります。
というのも、不動産の買主は金融機関から融資を受けることが多く、融資の際に現状と登記簿を一致させることが条件となっている場合もあるからです。
また、建物を取り壊したら1か月以内に登記手続きをしないといけません。申請を怠ったときは「10万円以下の過料に処する」と定められています。
建物を取り壊したら速やかに登記手続きを進めるようにしましょう。
過去に取り壊した建物の登記を消す
建物を取り壊したら、必要書類を整えて1か月以内に建物滅失登記をしなければなりません。
- 申請書
- 建物滅失証明書(解体証明書)※解体業者が作成する
建物滅失登記は、所有者や相続人などが申請することができます。
建物滅失証明書がない場合
何年も前に解体して、現在、その解体業者が存在しないという場合もあるでしょう。
そのような場合には、上申書を提出したり、市町村に当該建物が存在しない旨の証明書を発行してもらうことで対処できます。
- 申請書
- 上申書(取り壊したという内容)+ 印鑑証明書
- 固定資産課税台帳不登載証明願 ※自治体によって名称が違います
知らない人の建物の登記を消す
稀に、明治や大正に建設された建物の登記が残っていることがあります。(実際に私は、200㎡の土地に7件の建物の登記が残っているものを見たことがあります。)
何代も前の土地所有者の名義であることが多いため、名義人が亡くなっているということが多いです。
このような場合には、建物滅失登記をすることはできません。
では、どのように対処するかというと、「建物滅失の申出」という手続きを行います。
この手続きは、土地所有者から申出することができるため、必要書類を揃えて法務局に提出します。
- 申出書
- 上申書(建物はないし所有者にも連絡が付かないという内容)
まとめ
実際に、10万円以下の過料を受けたとう話は聞いたことはありませんが、申請義務がありますので必ず申請するようにしましょう。
建物滅失登記や建物滅失の申出は、比較的簡単な手続きですのでご自身でやってみてもいいと思いますが、忙しい方や役所の手続きに不慣れな方は専門家に任せることも検討してみてはいかがでしょうか。
大まかな流れや費用については以下のページをご覧ください。
当事務所では、複数の専門家と提携しているため、ここに記載した建物の登記手続きだけでなく様々な手続きに対応しています。
相続登記や預貯金の名義変更手続きなど、相続に関わる手続きをワンストップにて対応させて頂いております。お困りの際はお気軽にご相談くださいませ。